スターフライヤー黒字回復国際線の再開も計画
2022年07月5日
先日、スターフライヤーは2015年3月期の決算を発表しました。
前期の30億4000万円の過去最高赤字から一転、4億3100万円の黒字となり、2期ぶりの黒字転換です。
また、売り上げ高も300億円余りと過去最高を記録し、2014年6月に松石禎己社長が就任して以来、大幅に経営が改善されました。
本格的にLCCが参入して以来、大手でもLCCでもない第三勢力として就航してきたスターフライヤー。
その経営は、決して安定したものではありませんでした。
LCCの台頭とともにじわりじわりと売り上げは落ち、とうとう一時は30億円余りの赤字を出してしまいます。
しかし、ここにきての急激な黒字転換。一体同社に何がおこったのでしょう。
急激な黒字転換なぜ?背景にはANAとのコードシェアが
スターフライヤーが急激に黒字に転換できた背景には、利益の少ない路線の運休とANAとのコードシェアがあります。
2014年2月からスターフライヤーは順次、路線の縮小を行ってきました。
その中には、唯一の国際線だった、北九州~釜山線も含まれています。
そして、同年10月からはドル箱路線とも呼ばれる、羽田~山口宇部線を就航。
この路線が大きく黒字に影響しました。
前期よりも利用客数は、2割弱程度落ち込んだものの、座席供給量を示すASKが約15%改善したことが、大きな増収の要因になったようです。
他にも原油価格の下落や、コスト削減で支出が減り円安による為替差益で、多大な営業外収益を得られたことも一因となっています。
さらに、黒字へのV字転換の背景には、ANAとのコードシェアがありました。
独自路線では座席供給量が悪いものの、羽田~福岡線のように一年中ニーズが安定し、利用客を獲得できる路線をコードシェアしました。
その結果、ANAとのコードシェアによる売上高は、100億円と全体の3割を占めるほどになりました。
やはり、LCCでも大手でもない第3勢力がコードシェアをせず、独自で生き残っていくことは、非常に難しいようです。
スターフライヤーはこれからも、大手と上手くコードシェアをはかることで、さらなる経営の安定化を図りたい考えです。
運休中の国際線復活も視野に…復活のコンセプトは「らしさ」
破竹の勢いで成長を遂げるスターフライヤーは、先日、2015年を新年度とした、新中期経営計画を策定しました。
「らしさ」をコンセプトに、スターフライヤーとしてのブランドの確立や、コアとなるファンの獲得、経営基盤の強化が盛り込まれています。
あえて非常識を選ぶ、という独自のスタイルを頑固なまでに貫いてきたスターフライヤーのスタイルは、これからも継続する考えのようです。
また、2016年度3月期通期の目標も発表し、2015年3月期と比べ純利益9割増を見込んでいます。
そのために、既存の路線は維持しつつ、収益が見込める新たな路線の開拓にも熱意を見せています。
さらに、状況に応じて運休していた国際線の定期就航も視野に入れているようです。
詳細についてはまだ不明ですが、一部関係者の間では近い将来、国際線の復活はあるのではないか、という声が多く聞こえてきます。
黒い飛行機という非常識を売りにして就航を果たしたスターフライヤー。
JALなどの大手より格安な運賃を実現しつつ、広いシートピッチ、全席にディスプレイを設置するという豪華な内装。
さらにはLCCにはない座席指定や受託手荷物無料、ドリンクサービスも行うという大手並みの充実したサービスを貫いてきました。
そして、このスタイルは確実に利用客の心をつかみつつあると言えます。
安定した顧客を獲得することができれば、国際線への復活も可能になるでしょう。
そのためにも、スターフライヤー“らしさ”を前面に押し出した、ブランドの確立が必要になってくるようです。