スカイマーク破綻と再建の鍵とは
2024年02月9日
2015年1月、国内第3位の航空会社であるスカイマークが民事再生法を申請し、事実上経営破綻しました。かねてより業績の悪化による破綻が懸念され、一時はある日突然破綻し飛行機が飛ばなくなるのではないか、とまで噂されていました。ですが民事再生法が申請され、その事態はひとまず避けられ関係者は一安心のようです。
しかし、国内第3位のシェアを誇ったスカイマークはなぜここまで急激に業績を落としていったのでしょうか。その原因について探っていきます。
防げなかった破綻…原因は?
スカイマークが発表した「民事再生手続き開始の申し立て及び資金支援等に関するお知らせ」によると、主な原因は急激な円安の進行にあるようです。機体のリース料をドル建てで支払っていたために、円安の進行により想定以上の支払いを余儀なくされ、多額の負債を抱える結果となりました。
他にも、燃料の高止まりや、競合他社との価格競争の激化も大きな要因と言えます。さらには大型機であるA380の導入の失敗、エアバス社への巨額な違約金が決定打となってしまいました。
確かに、2014年の年明け以降の急激な円安の進行は目を見張るものがありました。しかし、大手航空会社と肩を並べる程のスカイマークが、円安の煽りで経営破綻なんてことはあり得るのでしょうか。
裏には、スカイマークが銀行と全く接点がなかったことが大きく影響しています。無借金経営を掲げ、銀行との取引を頑ななまでに断ってきたことで、為替リスクへの対処に関するノウハウが身についていませんでした。そのために、基本的なリスク回避ができておらず、円安の影響をもろに受け、あっという間に手元の資金が底をついてしまったのです。
もし、経営陣が少しでも為替リスクへ目を向けていれば、経営破綻は避けられた可能性もあります。経営が行き詰った本当の原因は円安ではなく、経営陣の方針によって起こるべくして起きたと言えるのかもしれません。
再生への鍵となるか?ANAが再建参加へ
同業である大手航空会社からの出資を受けない方針で再建を進めてきたスカイマークですが、ANAホールディングスの支援を受けることを先日発表しました。2015年5月29日までにANAによる支援策を組み込んだ再生計画案を提出し、再生に向けて本格的に動き出す予定です。ANAが出資するのは19.9%。この数字は、スカイマークとして羽田空港で運航するためのギリギリの出資額と言えます。
なぜなら航空会社は他の航空会社に20%以上株を保有されると、羽田発着枠を返上しなければならないためです。このことから大手の支援は受けても、あくまでスカイマークとしてのブランドは残したいという、経営陣の姿勢が見て取れます。ANAは共同運航や、燃油の共同調達といった支援を行うことを予定していて、すでに出資を決定している投資ファンドのインテグラルとともに、5年以内の再建を目指します。
また、大手航空会社が後ろ盾となったことで、債権者との交渉がスムーズになることも期待されています。特に、最大7億ドルとも言われているエアバス社への違約金の支払いに関しても、ANAがもつ交渉力が必要となってくるでしょう。
一時は二次破綻さえ心配されていたスカイマーク。ANAの出資により、その危機をとりあえずは免れたようですが、まだまだ問題は山積みです。特にLCCが台頭している昨今、従来通りの中間層をターゲットにした戦略では、経営を安定させることは簡単ではないでしょう。
大手航空会社の支援を受けることで、新たな第3極への生まれ変わりが必要になってきます。さらに、投資ファンドのインテグラルに関しても、JALへ転売するのではないかなど、疑惑が払拭しきれていない現状もあります。このような苦難を乗り越え、果たしてスカイマークは無事、再建することができるのでしょうか。今後の動向に注目です。