収益増のJALと収益減のANA両社の違いについて
2022年07月5日
格安航空券を売りとしたLCCなどにシェアを奪われてしまったものの、やはりここ数年は大手航空会社が再び復活を遂げています。
価格の面でもさまざまなキャンペーンを展開したのみでなく、大手ならではの幅広い路線をカバーすることができる点や、充実したサービスなどをさらに強調したことによって、顧客を取り戻すことに成功しています。
二大大手のJALとANA両者の戦略
国内大手航空会社といえば、JALとANAでしょう。この二社はそれぞれどのような戦略を打ち出したのでしょうか?
冒頭でお話した戦略の点においては大きな違いはありません。
しかし、このようなライバル企業の戦略がまったく同じであるわけではありません。似たような状況におかれていても、やはりそれぞれが異なった戦略で多くの利益を生み出すべく戦ってきました。
収益増のANAに大して収益減のJAL両社の明暗を分けたのは?
各社がさまざまな戦略に打って出る中、ANAとJALはそれぞれ違った方法をとり、そして明暗がはっきりと分かれてしましました。
おかれている状況はそれぞれ同じはずなのに、何が両社の明暗を分けることになったのでしょう?
まず、一般的に航空会社などがより多くの利益をあげるためにとる方法について考えてみましょう。
最初に考えられるのが、赤字運行を少しでも減らすために利用者の少ない路線をカットしてしまう、というものです。
これは航空会社に限らずさまざまな交通機関でとられる手段です。バスや電車であっても利用者の少ない不人気路線は便を減らしたり、場合によってはその路線そのものを廃止してしまうというケースも少なくありません。
飛べば飛ぶほどに損益が膨らんで行く赤字運行をカットすることができれば、当然多くの利益を得ることができます。
そこで、JALは立地の面で羽田と比較すると不利になる成田発着の国内便を減らす、という方針を打ち出しました。
一方のANAはどうでしょう?これまで大きなシェアを握ってきたJALが便を減らすとなれば、その分の利用客を獲得することができる、と考え、便の数は維持することにしたのです。
結果としてANAの目論みが当たり、収益を増やすことに成功したのです。それに対して、赤字になる可能性があったとはいえ、運行便を減らしたことにより、シェアを失ったJALは収益を減らすことになってしまったのです。
それぞれの判断のちょっとした違いが大きく明暗を分けることになりました。しかし、私たち利用者の視線からみれば、少しでも多くの便が確保されてるほうが便利に決まっています。
もしかすると、ANAは利用者目線でこの戦略をとった、とも考えられるのかもしれません。